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猫を殺(と)れ (31)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
「お~いっ……お~いってば~、シュ~ンッ」
「何だよ、まだ交代の時間じゃないだろ?」
そう言って腕時計を見よ言うとした。
「動きがあったぞ~」
「何!?」
ガバっと身体を起して双眼鏡をのぞいた。
屋敷の正面に車が止まっていた。
「な~シュン、あれってここの奥様じゃね~の?勝手口の近くで、猫抱いてるおばさま」
「おお、若いピンクの服着た女と喋ってるやつな」
「カメラカメラ~写真写真~、シュンはやく~~」
「ったく俺かよ!」
「うわ、あの猫でかっ!早く~シュン~~!」
「もう撮ってるつーの。」
「あれ?中からもう一人若いのが……ケージを抱えて……でてきたね。
……ということはだな……どういう事だ?シュン」
「俺に聞かれてもわかるかよ」
「あ、出てきた姉ちゃん、おっぱい大きいなあ~いいなあ~。写真とってけよ~シュン」
「っせーな、撮ってるよ!」
「あんな姉ちゃんとニーニーしたいな~。でもおばさんと喋ってるお尻の姉ちゃんもいいなあ~。な~な~シュン、お前はどっちがいい~?どっちとニーニーしたい?」
「……ケツ。ってニーニーって何だよ、大体」
話が終わったのかピンクの服を着た二人組が車に向かって歩いてくる
ん?ありゃ看護服か?ピンクのナースねえ……。そう思いながらシャッターを切った。
玄関にバックでつけていた車に乗り込むと、女達は車を発進させた。
ケージを持ってた女が運転しているようだ。
側面が見えた。「近澤どうぶつ病院」とどうぶつだけは平仮名でペイントされ
版権の難しそうな出所のアニメのキャラクターが描かれていた。
丁寧に電話番号も書いてある。シャッターを続けて切った。

これで15日、丸々2週間か。「三池」さんねぇ。何してる人かわかんないけど資産家って事は確実だな。
お手伝いさん、家政婦、いや、メイドとコックか。何でもよかった。だが、「誰も外出しないのだ」
家の内部の状況を知りたかった。365日あの屋敷で暮らすわけでもないだろうが……。
もう食料も水も残り少ないし、一旦山を下りるか。
「よう、ライト一旦山降りるか?」
隣にいたはずのライトの姿がなかった。
振り返ると薬の袋をガサガサと探っていた。
「どうした?ライト?まだ薬の時間じゃないだろ?」
「あ、ぁあ、でも最近は効き目が短くなっちゃって、足らないんだ~。」
そう言って振り向いた顔は土気色なのに汗が滝のように吹き出し、流れ出していた。
「お前……」
「さっきのおっぱいの子見た途端、もう撃ち殺したくなっちゃってさ」
「だからあんな軽口叩いて我慢してたのか」
「銃が無くてよかったよ~」
「ああ、全くだ。そう言う事は早く言えよ。山を下りるぞ」
「え、でもここの監視は?どっちか残ってなきゃ」
「じゃあライトがこの山の麓からここまでに張ってあったワイヤートラップ全部潜り抜けて、街に戻って、先生に英語で診断してもらって薬もらって、食料品、水、もって戻ってこれるか?」
「……一人では無理。」
「逆にお前が残って、俺のしてた監視業務を続けるか?今の状態でそれができるか?覗くだけじゃだめなんだぞ?」
「無理だ……そんなに怒らないでくれよ~シュン」
「怒っていない。冷静な判断をしているだけだ」
「ほんとに~?」
「ああ、怒ってない。さあ、ここ片付けて、山降りて美波先生の所で看て貰おうぜ」
森の中にはワイヤーが標高順に3段のワイヤーロープが脛、腰、頭の高さにランダムに張ってあった。
切れるとセンサーが働く仕組みだろう。頭の高さの時はかがめばよかった。目の前に黒い線が無いか気を付けるだけで良かった。
来るときに見つけたワイヤーの貼ってある幹には一応目立たないように傷をつけておいた。
ようやく歩き終わろうとした時、森の切れ目から何かが見えた。
「ライト、じっとしてよくあっちの方を見て観察してみてくれ」
指差しながら、双眼鏡を手渡した。
しばらく対象を探していたようだが、ピタッと止まった。
「短いポールがあっちとこっちに2本、俺の遠近勘を頼りにすれば門扉の支柱。それから~。あれはカメラだな~かなりの高級品で、俯角をとってる。ちょっとだけ前に出ていい~?」
「ああ、トラップに気を付けてな」
「うん~」
匍匐前進で体一つ前へ出たとこで視界が開けようだ。リポートが始まった。
「さっきのはやっぱり門柱で正解。両開きの華奢な奴向こう側には支柱の下にインターフォンがある。
カメラ付き。上のカメラは丸いポッドに収められた全天候型の355度視界。あのタイプだと、遠隔操作ができるね~。赤外線、ナイトビジョン。……サーモは……うん、ないっぽいね。と言う事はっと」
ごろと体勢を半身にすると
「ん、あったあった。車の出入り口全体をみはるカメラ。これは安いけどリモコン式の奴だね~
ここからじゃ視認できるはこれくらい~」
「OK。さすがはライトだな。下がって来い。タクシーを拾って早く病院へ行こうぜ」
人の気配のないのを確認して舗装された道路に出ると、お互いに落ち葉を払いあった。
ライトがその時ペロンとシュンのお尻を触った。
「ん~さっきの子のもよかったけど、やっぱり俺はシュンちゃんのが一番しっくりくるな~うんうん」
もう、怒っていいやらいいか、喜んでいいのか、よくわからなかった。

今までなら向う脛の一つでも蹴り飛ばすところだが
退院後、すぐに私を頼ってきてくれ、同居を続けるうちに気持ちに変化が出てきたのかもしれない
ライトの気持ちもよく分からない。戦場やこんなミッションでは「シュン」を男の戦友として信頼し合っている
もちろんいつでもシュンはいつでもシュンで居たかった。だが微妙に女心をくすぐる言動を重ねるライトに、「瞬」という「女」は反応してしまうのだ。

「ほらさっさと歩いて国道まで出るよ、歩け歩けっ」
そう言ってケツを蹴り飛ばした。
ようやく捕まえたタクシーをとばして「美波先生」のアパートに着いたのはもう夕刻前だった。







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Response: コメント: 2  トラックバック: 0  Edit 01 22, 2012 Back to top
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Comment

お、やっと猫が出てきた。 どうして動物病院にいくんだろう。
デカいって、どれくらいデカいんだろう
まさか、155cm、58kgってことはないよね

三毛ニャンさま

それは大きい(笑)
アヒルが池に出没するやつじゃないか。
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