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猫を殺(と)れ (44)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
作品中に過激な表現や嫌悪感を催す表現が含まれます
これらが苦手な方や気分のすぐれない方
躁鬱の波が現在極端に振れている方は
これより先に読み進めない事を強く推奨いたします
これらの警告を無視し読み進めた場合の気分の弊害などにつきましては
当サイトは一切関知いたしません
ご理解いただける方のみ続きをご覧ください




「コンディション・レッドだ。敵の中にアヴァロンのSクラスチームが5人いる。『いるかちゃん』もいるぞ、ハイネ。気を付けろ。部屋は2階の東突き当りだ。おそらく敵チームを全滅させないと到達できない。現在三池総帥を人質に確保済み。繰り返す。相手はSクラス1チームだ。部屋に到達出来たら、ワン・ツー・スリーの3ノックで合図をくれ。」

シュンのつぶやきは他の4人の耳朶を打った。
「トミーだ。聞いた通りだ。だがここまで来たら引き返せない。シュンもサルベージしなくちゃならん。続行だ」
「了解」
ハイネは返事をしなかった。目の前にアフリカ系の迷彩服が反対方向を向いて警戒態勢を取っていた。
すり足で忍び寄る。息はしていない。もう手が届く距離になった。
一気に左手で背後から口を手のひらで抑えるように引き倒すと、胸にナイフを突き立てた。
心臓は左側にあると思い込みがちだが、実際は肉体の中心線より若干左側にあるだけだ。
胸骨に沿わして刃を突き立てれば自然と心臓に到達する。
力をこめさらに奥まで突き立て、ナイフをひねった。
男の体が痙攣しだす。それが止まるまで息を殺してじっと待った。
男の吐いた血のあぶくが左手の指から溢れて、男は死んだ。
死亡すぐの筋肉の緊張が解けるのを待ってナイフを引き抜いた。
ナイフは男の筋肉と脂肪で挟まれ血はそれほどついていないが脂がついていた。
男の迷彩服で丁寧に拭った。
そっと立って振り返りトミーたちと合流して東側を目指すことにした。



踊り場の死角でトミーは3人のダークスーツたちを相手に奮戦していた。
階段を昇ってくる男達をM4で蹴散らした。
まだ一人残っていた。頭をすぐに引っ込めて、しぶとく打ち返してくる。
ミッフィーもファーストエイドキットをデザートイーグルに持ち替え狙いを定める。
トミーはいったん下がりM67破片手榴弾の安全ピンを抜き、グリップを緩め1,2,3、と数えてから投げた。
ミッフィーの頭を押さえて一緒にフロアに伏せた。
爆音が響き、またあたりが白煙に包まれた。
男の者か、死体の者か、肉片がトミーたちのもとまで飛んできた。
ともかく、無事では済まないだろう。
立ちあがったその時、トミーの足元にコロコロと黒い塊が転がってきた。
手榴弾だった。
トミーはとっさに手榴弾を思い切り蹴飛ばした。空中を飛んだ手榴弾は階段下で爆発した。
鈍い音と振動がした。
ミッフィーの方を向いてやったぜ、とウインクした時、また手榴弾が転がってきた。
もう振り向いてキックしている暇がない。
1秒が異常に長く感じた。
トミーの判断は下った。
ミッフィーを力づく壁に押さえつけると自分の体が盾になるよう思いきり抱きしめた。
ドンッ!!!
ものすごい衝撃と爆音が2人を襲った。
白く煙った視界の中ミッフィーの前でトミーはまだ黒いシルエットとして立っていた。
「よう、ミッフィー無事か……」
ミッフィーが涙目になって頷いた。
「そいつは良かった」
手榴弾は爆発で人を殺すのではない。対人手榴弾はその爆発の威力で外殻を破片化させ、それを吹き飛ばすことで人を殺傷するように作られている。
ミッフィーが急いで抱擁から離れ、ファーストエイドキットの方に向かっていこうとするのをトミーが止めた
「そいつはもう無駄っぽいぜ、ミッフィー」
トミーの背面には後頭部から背中、腰から足まで無数の金属片が深く突き刺さっていた。
至近距離からの爆圧で肺と耳の様子もおかしい。
「どうやら俺はこれで終りらしいな」
ミッフィーは泣きながらトミーの胸を両手でパンパン叩いていた。
「俺は思うんだ。チームの中で誰よりも幸せにならなくちゃいけないのは、ミッフィーお前だってな」
ゲホっとむせこんだ吐息に血が混じっていた。
「いいかい?よく聞くんだ。奴は必ず成果を見にここへ来る。そこをそのドデカい銃でかませ。」
全身でイヤイヤをするミッフィーの肩をトミーが叩いた。
「ほら、これやるから頑張れよ。」
ゆっくりな動きで血まみれの右手でポケットを探ると小さなウサギのミッフィー人形をとりだして彼女に握らせた。
「じゃあみんな、すまないが先に……」
そこまで言うとクリンっと目が反転してその場に崩れた。
悲痛なやり取りはライトとハイネの耳にも届いていた。
だが今はどうする事も出来ない。
ミッフィーは血にまみれた人形を大切に胸ポケットにしまうと、グシっと鼻を拭いて銃を構えた。
煙の中を目を凝らす。
立っている姿を見られないよう壁にもたれてズルズルと座り込んだ。
白い煙の中に黒い人影が見えたような気がした。
銃口を向けた。
次の瞬間全く別方向から延びてきた大きな手で銃をもぎ取られた。
大柄な白人の姿が視界に広がった。
白人は銃を放り投げると、両手でミッフィーの首を絞め、持ち上げた。
首の骨が折れそうな圧力の中、ミッフィーは首に回った白人の手の小指を握りその強烈な腕力で、逆方向に折り曲げた。
大声でわめき声をあげて白人がミッフィーを離し、のたうちまわった。
小指はへし折れて、妙な方向に曲がっていた。
白人に馬乗りになったミッフィーが思いきり顔面を殴った。
鼻が折れて血を拭いた。
無事な手でミッフィーを掴み払いのけようとした。
その手を掴み、今度は肘を逆方向に折り曲げた。
ボギィっと嫌な音を立てて腕がダランと垂れた。
ミッフィーは再度顔面を殴り続けた。
眼窩はへし折れ、窪んだ。
頬は歯が貫通し裂け、その歯もミッフィーの拳にへし折られた。
白人の前髪を掴むとまた溢れだしそうになった涙をこらえながらフロアに叩きつけた。
後頭部が割れて脳がはみ出した。
男は死んでいた。

ミッフィーは跨いでいた男から立ち上がると、トミーのもとに行った。
トミーを揺すった。
いつしか煙は収まって視界は明瞭になっていた。
もうトミーは返事をしなかった。

階下から声がした
「ライトだ!今から上がる!撃つなよ!!」
ミッフィーは振り向いてライトの方に走り出そうと死角から飛び出した。

その瞬間、視界が真っ暗になって世界から音が消えた。
ミッフィーのこめかみを銃弾が貫いていた。
力の抜けた人形のようにその場に座り込んだミッフィーは、鼻と耳から血を流していた。
ほぼ0距離の至近距離からの直撃だった。
即死だったはずのミッフィーの手が、撃った男の足首を無意識か筋肉反射なのか、がっちりと掴んで離さなかった。
「ミッフィーーッ!!」
ライトの存在に気付いた男が逃げようとして、自分の足を離さない死体に驚愕の目を剥いた。
逃げられないと悟った男が銃をライトに向けた。
それよりも早くライトの正確な射撃が男の胸に穴を5つ開けた。
男は血を吐きながら後ろ向きに倒れた。
ライトがミッフィーのもとに駆け付けた時にも、まだ彼女の手は男の足を握ったままだった。
まだかろうじて血の咳をしながら生きていた男の額に銃口を当て、ライトは引金を引いた。
割れたスイカのようになって男の頭は飛び散った。
「ミッフィー……」
倒れたミッフィーのそばには血まみれのミッフィー人形が胸ポケットから転がり落ちていた。






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Response: コメント: 0  トラックバック: 0  Edit 01 25, 2012 Back to top
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