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夏の凶悪(2)

Category : 夏の凶悪
テーマ : 双極性障害(躁鬱病)
ジャンル : 心と身体
駅構内は、これから葬儀に向かうかのように死んだ目をした人の群れで充満していた
私の恰好を見てもまたすぐに前方だけを見てゾロゾロ歩き出す
「家畜が。」
羊飼いにゾロゾロ連れられて歩く羊を連想して思わずそうつぶやいた

人の群れをかき分けて、駅前のコンビニエンスストアーに入った
それだけでもう汗をかいていた。足にテープ留めした弾倉が予想外に重い
「いらっしゃいませ~」
のんきな挨拶で出迎えられた。空調が効いていて汗がスウッと引いて行った
サバイバルゲームの行きか帰りと思っているのだろう。レジカウンターの老夫婦はにこやかな笑顔でこちらを見ている
店内を一回りした。サラリーマン風の男が4人、ジャージ姿の男が1人、OL風が3人、バイトらしき若い女が1人、WCには客は無し。
パンツの尻ポケットから弾倉に邪魔されながら、レジ横のキャッシュディスペンサーに近寄った
「あ、お客様、そちらのATMは9時からの利用となっております、申し訳ありません」
レジの中の年配の男性が、作り笑顔を浮かべて軽く頭を下げた
左腕に巻いたGショックを見ると、まだ8:30を少し回ったばかりだった

カチリッ

いきなり頭のスイッチが入った
ああ、まただ。もう止めようがない誰にも理解されない私の脳内の時間が暴走し始める

スリング(肩から掛ける帯)を緩めに張ったAKをしっかりホールドし、銃床を肩にピッタリあてると、天井に向けてフルオートマティックで引き金をマガジンが空になるまで、何度か標的を変えながら引き絞った。
私のAK74は古いタイプのAK47よりも反動が少ないといわれているが、それでもフルオートで撃った際の銃口の跳ね上がりの癖は抜けておらず、しっかり踏ん張ってないとひっくり返りそうになる
またフルオートでマガジンが空になるまで撃つなんて絶対に的には当たらない。タタタ、タタタと3~4連射しては、また的を狙い直すというのが鉄則だ
だが今回は脅しだけが目的なので問題ない

タタタタというAK独特の乾いた発射音が店内中に響いた
弾丸はフルメタルジャケット(完全被甲弾)なので貫通力はあるが、弾頭が固いせいでマッシュルーム現象が起きないため破壊力に劣る
それでも天井には無数の穴が開き、天井材の石膏パネルの崩れた粉が舞い、一部では吊り天井のジョイントが外れたらしく、だらしなく天井パネルが宙吊りになっていた

「すまないが、店長さん?」
私が尋ねると、さっきのレジにいた男が硬直しながらうなずいた
「ちょっと自動ドアのスイッチ切って、鍵かけてくれないかな?それと裏口の鍵もお願い」
人間が驚くと硬直してしまうのが常で、店長も「は、はい!」といったまま一向に動かない
じれったい。さっきの発射でまだ熱い銃口を、店長着ている半袖制服の肌に直接くっつけてつついてやる
ビクンとなった店長は見てるのが楽しくなるくらい、きびきびと一連の作業をこなした

自作の2連マガジンの上下を入れ替えるとコッキングレバーを引き弾を装填した
店内を見ると、まだ全員があっけにとられているか、うずくまっているかだった
また天井に向かって無造作に一発だけ撃つ
「おい、全員レジ前に集まれ」
客たちに動きはない。硬直したままだ。急激にイライラがつのってくる。
今度は菓子を陳列しているコーナーにむかって3発撃った
「いい加減にしろ!最初から殺すつもりはこっちにはないんだ!目的を達成したら解放してやる。さっさと集まれっ」
銃撃の後の寒々とした空気の中、知らない歌が有線BGMで流れていた
ここ数年TVなど見ていないから流行歌など分かるはずもなかった

やがてのろりのろりと全員が集まった
「よし、全員集まったな?全員正座して両手を頭の後ろで組め」
一人のサラリーマンの後ろに回り、銃口を後頭部に押し当てながら膝の後ろをアーミーブーツで軽く小突いてやる
自然と体は崩れ落ち正座の体勢になった。サラリーマンはのろのろと両手を首のあたりで組んだ
「もっとキビキビ動けよ!お前、会社でもそんな態度なのかよっ!ああ!?」
見せしめのために銃床で男の頬骨を一発突いた。奥歯が折れたのか、男は血のよだれを垂らしながらうつむいた
それを見ていた残りの8人は一斉に同じ体勢になった。

「たったこれっぽっちの暴力ともいえない暴力でお前らは屈する。簡単なやつらだな。私の受けた……」

そこまで毒づいて、またあの痛みが私の頭を駆け巡った

キンキンキンキン

鉄骨を金づちで叩くような、不快な音と突き刺さるような痛み
しばらくうつむいて表情が見えないようにしながら、瞼に力を入れ左手でこめかみを押さえ、痛みが遠のくのを待った
痛みが過ぎ去り顔を上げると、ジャージ男以外は不審そうな表情でこちらを見ていた
ジャージ男は目を輝かして私の装備や、銃を見ている。全く怖がる様子がない。使えるな、そう思った。
左手のGショックをみるともう九時を回っていた。自動ドアを閉めて鍵までかけていたがこの時間帯に他の客が入ってこなかったのは、ほぼ奇跡と言っていいだろう

「ATMは9時からだったな?」
店長に問いかけた。店長は無言でコクコクうなずいた
キャッシュディスペンサーに近寄り、さっき苦労して取り出したカードをまた同じ要領でとりだした
カードを差し込む。タッチパネルの残高照会を触る。¥602.854と表示がされた。また元の画面に戻る。
今度はお引出しと表示されている所をタッチし60万円を引き出した
奥歯を折ったサラリーマンには5万円をみんなによく見えるように一枚一枚数えながらスーツの胸ポケットにねじ込んだ
「治療代だ」
なるだけ感情をこめないように言い放つと、他のサラリーマンには3万円ずつ同じように胸ポケットに放り込んでいった
OL3人には2万、バイト店員には3万を両手を解放させ手に握らせた
「すごい時給だな、30分で2万か。ラッキーだったろ?」
OLに向けてウインクしながら言ってやった
固い表情のその皮一枚下にある喜びの表情が見て取れるようだった

「あ、あの僕には……」
声の主に視線をやると、ジャージ男だった。周りの8人がいらんこと言いやがって、刺激するなよ!というオーラをまとった視線をジャージに集めた。本当にこの状況でそんなこと言えるなんて大したものだ
「お前にはないよ。その代り、金には代えられない体験を生で見せてやるよ。ネット動画じゃない、リアルをな」
ジャージの眼はさらに輝いた。

「よし、じゃあOLさんたち3人はそのまま出て行っていいよ。なんなら警察に電話してもいい」
「え……ほ、本当にいいんですか?」
「ああ、さっさと出て行きなよ。事情を説明して会社サボって、その金でショッピングとか、たまにはいいんじゃないか。」
「あ、あありがとうございます」
なんで、拉致されといて感謝されるのかわからなかったが、店長に目で合図をして銃口を向けると、店長は小走りでカウンターから出てくると自動ドアのかぎを開けた。
またのろのろモードに移ったOL3人がゆっくりと立ち上がり、何度も店内を振り返りながら全員でていくと、また店長は自発的に鍵をかけた
カウンターに戻った店長に引き出した金額の残りを全部放り渡した
「これ、店の修復費には追いつかないだろうけど、私には今これしかお金がない。迷惑料だと思って取っておいて」
店長の眼をじっと見た
店長は私の眼をじっとみつめた。慈しみとか愛とか憎悪とかそういう類でない、頭の中まで見通すような視線が年老いて垂れ下がった瞼の向こうから突き刺さった
「預かっておきますね」
そう言うと、カウンター背面の煙草コーナーの下段にある引き出しにしまった。これだから団塊の世代は怖い
元は自衛官上がりか、警察関係か?いらぬ考えが頭を駆け回る。振り払うように大きな深呼吸を一回した

振り返るとサラリーマンたちがおとなしく正座をしたまま、餌をねだる子犬のような目つきで私を見上げていた

残るはレジの老夫婦、サラリーマン4人、ジャージ、バイトの女の子の8人だ

AKを構え直すと、銃口を男たちに向かって聞こえる程度の声で

「さあ、男ども仕事の時間だよ」

そうつぶやきながら、右胸のサスペンドベルトのポケットから、煙草のパッケージとジッポを取り出し、歯で一本煙草をひっぱりだすとジッポで火をつけた




つづく……かも?


Novell以来の小説で結構専門用語とかも多くて、わかりにくい方が大半だと思います
1年以上のブランクがあるとやっぱりきついっす^^;
まー細部にこだわらず軽く読み流してくれたら嬉しいです
あと、もし軍ヲタの方で読んでくれてる方いらっしゃいましたら
陳腐な表現はわらいとばして、誤記があったら教えてほしいなとか思ってます



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Response: コメント: 2  トラックバック: 0  Edit 07 17, 2011 Back to top
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ピストル、撃ったことあるよ

今を遡ることウン十年、ハワイに新婚旅行に行ったとき、射撃場に
いって、ピストルを撃った。
銃の国アメリカだから、合法なんだよね。
女性の護身用の、小っちゃいピストルを撃ったんだけど、針金で
上手く固定してあって、間違っても、自分を撃たないようにして
あった。
お母ニャンの命中率、けっこうイイ線、いってたよ。
って、軽い銃のほうが、命中率、高いのかなぁ

お母ニャンさま

いつもコメントありがとうございます
たぶん女性護身用となると22口径の拳銃だね~
おまわりさんの持ってるのは38口径
ダーティ・ハリー(古)は44口径
口径っていうのは、銃口の内径でインチ/100であらわされるんだよ^^
1インチは25.4ミリ(=2.54センチメートル)だから22口径は0.22インチで、5.5ミリくらいかな
クリントイーストウッドさんのダーティ・ハリーの44マグナムは11.2ミリ。ほぼ倍だけど、若干mm換算で狂いが出てくる
これはあくまでも銃の話で弾の話になってくるとジュールとかめんどくさくなるので割愛!
軽い銃というのも、弾の威力に左右されて、威力の強い弾だと反動もすごいので重い方が有利です
逆に標的射撃用の弾丸だと、しっかりと基本を学べば軽い銃でも命中率は上がるみたいです

でもお母ニャンにセンスがあったのかも……
普通は初めて銃を撃った人は10m離れた的だとかすりもしないそうですよ^^;
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name:灰音(ハイネ)

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