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夏の凶悪(4)

Category : 夏の凶悪
テーマ : 双極性障害(躁鬱病)
ジャンル : 心と身体
左手のGショックを見る。10時前だ。時間を少し食いすぎたか……
「バイトちゃん」
座り込んだままのバイトの女の子に声をかける
「……はい」
答える声に力はない
「着替えて帰っていいよ」
「え?」
「何度も言わせるな。今日はもうあがっていいよ」
無理やり笑顔を作って、優しくいった。
「はい!」
ピョンと飛び上がると、急いで控室に走って行った。遠くから心なしかサイレンの音が聞こえてくるような気がした
手がブルブルと震えだす。リーマスの副作用だ。
AKを肩掛けにして両手をパンツのポケットに突っ込み、悟られないようにする
「店長、あんたら夫婦っていったよな?」
カウンターを振り返り老夫婦をみる
「はい。」
「じゃあ奥さん、あんたここに残るか、バイトと一緒にここを出るか決めろ」
「……。」
「帰りなさい。」
店長が奥さんに向かって諭すように言った
「ここにいても、ほぼ全員が死ぬことになるぞ?なるだけ女は殺したくない」
私の一言が、効いたかどうか……
「子供と孫達を頼む」
やはりその店長の一言の方が効いたようだ。
「帰ります。」
小さくそうつぶやくと、ゆっくりと控室に向かっていった
所詮「夫婦」などと言っても、我が身かわいさは変わらんか。薄っぺらい愛情だな。一足先に出てきたバイトちゃんにカッターの詰まった袋を手渡す。
「一緒にこれを持って出て行ってくれるかな?ここじゃないコンビニのゴミ箱にでも捨ててくれ」
手の震えもばれていないようだった。
「はい。」
やり取りをしているうちに、手早く着替えを済ませた奥さんが合流した
「裏口から出てくれ。後ろからこいつで狙ってるから妙なまねはするなよ」
老夫婦はお互いの顔を見合わせ、軽く目で会話をしているらしかった

その間私は全員から死角になるように商品棚の影で、右腰のホルスターからベレッタを抜出し、マガジンをリリースすると弾丸を全部抜いた。残るはチャンバー内の一発だけだ
その作業が終わるとマガジンを元に戻し安全装置を外し、ハンマーを起こした。ベレッタはハンマーを起こさなくてもトリガーが引けるダブルアクションを採用しているが、連射の必要のない、かつ女性の私にはトリガーの引き代が短くて済むシングルアクションの方が楽だからだ
カウンター前に進むと、また自主的に正座に戻っている男4人とジャージの前に立った
「ジャージ、立て」
「は~い」
相変わらず間の抜けた声、こいつは本当に頭が足らないのか、足らないふりをしてるのか……
右手に握ったベレッタをわざと映画のように真横にかまえ、水平打ちした
あれはノワール物の映画のせいで流行した格好だけの打ち方で、実戦では全く役に立たない的にかすりもしない打ち方だと専門誌には書いてあった。確かに照準は水平方向じゃ全く役に立たない。
だが、1m先のレジスターを狙うには問題なかった。AKのタンッという音とはまた違うパンッという音がして、9mmパラベラム弾によってレジは見事に破壊された。ガス圧で排莢された薬莢が真上に飛び、放物線を描いて私の頭を飛び越すと、コロコロと男たちの目の前に転がっていった
銃口からも、空の薬莢からも薄い煙が上がった
「おい」
ジャージに声をかける
「へ?」
間の抜けた返事でこっちを見た
「今から女2人を裏口から逃がす。男たちが妙な動きをしたら、躊躇なくこれで撃て」
カウンターのおしぼりでまだ熱い銃身を持ち、ジャージにグリップを握らせた
「わかったな?」
「あ、はい」
握りしめたベレッタを嬉しそうにしげしげと眺めながら何度もうなづいていた
「あ、それから位置はここだ。あまり接近するな。一斉にとびかかられたら対処できない」
「はい~~~」
ジャージは男たちを舐めるように銃口を左右に振りながら狙いをつけて遊びだした
男たちは銃口が自分に向かうたびにすくみ上りうつむいて目を閉じていたが、やがて全員がそのままの格好で動かなくなった

「よし、じゃあバイトの子、奥さんの順で裏口から出ようか」
AKを腰だめにして、女2人をうながした
もう警察が押しかけて、裏口を固めているようなら盾になってもらいながら銃を乱射するだけだ
女たちが死のうが生きようが私にはあまり関係ない。自分ながら、女は管理がめんどくさい。従順ではない。コンビニに入店した時点で、私一人で制御できる人数を超えているのがわかった時点で開放は決めていたことだ。
バイトが鍵を開けてそうっとドアを開ける
不思議と手の震えは止まっていた
「全開にはするな!自分が通れるだけ開けてすり抜けていけ!」
囁くように命令する。
バイトは無事に屋外に出た。不審な物音も聞こえない。
「次は奥さんだ。無事に旦那と会えるといいな。」
そう声をかけると、精いっぱいの抵抗なのか力のこもった視線で睨みつけてきた。鼻で笑い飛ばすと銃口で背中をつつき
「行け」とだけ言った
奥さんもバイトと同じ要領でうまく屋外にでた。私はドアの隙間から顔をのぞかせた
そこには奥さんを抱き留め保護する、機動隊員の姿が一瞬移った
まだ視線は合ってない。そっとドアを閉め施錠した。ドアのガラスはワイアー入りだ。
「店長、粘着テープを持ってここに」
高鳴る心臓の音を聞かれやしまいかと極めて冷静な口調を心掛けて、そう言った
「この窓と控室の窓に※印になるよう、テープをしっかり貼ってくれないか」
「ああ」
夫人が無事脱出したせいか、店長の喋りは「接客業の店長」ではなく、「男」のそれになっていた
きびきびと手際よく貼っていく
あっという間に控室のガラスにも貼り終わると、ポンポンと粘着テープのロールを手で放り投げてはキャッチして、軽い足取りで帰ってきた

この男何者だ?不信感が頭の中でぐるぐるまわる。それを悟られぬよう腹に力をこめて
「ここで座ってていい」
それだけいうとサラリーマンとジャージの方へ歩いて行った





つづく……のかなぁ




初めて書くノワール物のストーリー、物語破綻寸前でギリギリの構成をしながら書いています。これからどうなるか私にもわかってませんが、よろしく!



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Response: コメント: 2  トラックバック: 0  Edit 07 19, 2011 Back to top
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Comment

う~~ん、犯人は女なんだよねぇ
男だと、よく、逃げた女を連れてこい、とか、警察に要求するんだけど・・・
いったい何が目的なんだろう
わかった!! まだ入ったことがないから、ブタ箱に入ってみたいんだ!!
ブタ箱って4人1部屋で、ガッチャン部屋より待遇、悪いから、止めときなよ

お母ニャンさま

ふふふ……どうなんでしょうねえ
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name:灰音(ハイネ)

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