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猫を殺(と)れ (11)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
兵舎は普通士官以外は小隊単位での簡易ベッドが並ぶ倉庫のようなものだが、米軍が接収したこの軍用飛行場付属の兵舎は、防塵、防砂、また蠍や蛇などの侵入を極力防ぐため、鉄筋コンクリート製の3階建の立派なものだった。
ただ爆撃対策の掩体壕は備えておらず、迷彩代わりのお情けに砂漠色に壁面と天井はペンキで塗られていた。
全施設がPMC「アヴァロン」の借り受けとなっていた。イラク方面における拠点と言ってもよかった。
イラク軍がオイルダラーに任せて作っただけあって兵舎内も広く、全室エアコン完備と言う兵士にとっては唯一気を休める事の出来る空間だった。
1Fはロビー、購買部、サロン、食堂などの公共施設、2Fは2人1部屋の一般兵士用、3Fが個室の士官用となっていたが、そこは民間軍事会社。気の合った者同士が同部屋になったり、一人で二人部屋を占拠している物もいた。
トミーとライトも同室だった。
昼は摂氏50度を超え、夜は零下になる砂漠の暮らしで、鉄筋コンクリートとエアコンはありがたかった。
ライトはやはり暗い表情のまま、銃の分解掃除にかかった。
トミーはそんな様子を見ながらもベッドにごろりと横になった。
「やっぱり気になるか?」
天井を見上げながら問いかけるトミーを振り返りもせず
「ん……まあ、な。」
ライトは手際よくバラバラにした銃を点検しながら答えた。
「ちっ、だ~めだなこりゃ。部品が多すぎるし、あちこち砂食ってらぁ。ドラグノフの方がましだったな~」

ライトは隊の皆からは陰で「処刑人」と呼ばれていた。本人もそれは知っていた。
PMCは正規軍ではないし、チームの中でもアサシンは職柄、最も敵に近づき混戦の中確実に殺戮を繰り返していく。
「負傷者」は出さない。「死亡者」を出すだけだ。敵から最も恐れられ、憎まれる。スナイパーも似たようなものだが、負傷したり捕まる危険性はアサシンの方が多い。
そうしたアサシンはむごたらしい殺し方をされる。また機密が漏れるのを防ぐため、トミーのチームでは救出に向かいチーム全体を危険に侵すより、スナイパーの手でアサシンを即死させてやることを方針としていた。
ライトはこの地で任務について3年近くで、5人のアサシンをその引金で即死させていた。
これは隊の中では最も多い数だった。

「だがよ、ライト。お前が憎まれ役をやってくれるおかげで、うちのチームはアサシンの欠員以外だしたことないじゃねえか」
「そんなこと言ったってよ~昨日まで笑いあって、同じ釜の飯食って、カードやって遊んだやつを殺すんだぜ?たまんねぇよ」
「ああ。」
2段ベッドの下で枕を噛みしめながらむせび泣くライトをトミーは知っていた。

部品が多いとこぼしながらも、整備が終わりコッキングレバーの遊びを調整するライトを見て、トミーはやるせない気持ちになった。
部屋の入口についているランプがブルーに灯った。友軍機が100キロ圏内に到達した証拠だ
ランプがレッドに灯り警告ブザーが鳴った時は敵爆撃機か地上戦闘機だ。
トミーは胸ポケットから煙草を取り出し火をつけると咥え煙草でベッドからとびおり
「さあ、ライト、お出迎えに行こうぜ」
とライトの肩を叩いた。
「あ~そうだな。一応挨拶しとくか~。ってお前煙草は俺の近くで吸うなって言うの。臭いで察知されるだろ、ったくもう。」
「ははは、作戦中は吸わないよ。」
また肩をバンバン叩き、1Fのロビーにライトを押すように降りて行った

「あ~100kmつったってすぐだなあ」
「そりゃあお前飛行機だもんよ」
間抜けな会話をしている二人に見えていた豆粒のような機影が、あっという間に滑走路の端に足を下ろした。
「うわ、止まれるのかよ。ここの滑走路1700メーターしかないんだぞ?」
ガガガガガガというブレーキ音と共にC-130の独特な逆噴射音が強烈な音を立てて、滑走路の端ギリギリで止まった。
「ターボプロップとはいえレシプロ機でよくやるぜ」
トミーがつぶやいた
エンジンスローのままゆるりとその巨体をUターンさせ、今は固定翼機の代わりに回転翼機のヒューイ・コブラが2機とハンビーなどの陸上輸送車が納められているハンガーに近づいていく。
PMCの地上職員たちの動きが激しくなる。
フォークリフトがライトの隣をかすめていった。
一番最初に自走で下りてきたのは小型ジープだった。
後は物資がどんどんと下ろされていく。コンテナ詰めの物資はおそらく重火器類だろう
最後に下りてきたのは迷彩服に身を包んでレイバンのサングラスをかけたシュンだった。
その後ろから頭からすっぽりと包む、真っ黒な「アバー」というイスラム圏で女性が着るマントを羽織った人影がついてきた。
「おいおいおい、トミーどうなってんだよ~?」
「俺に聞くなよ。」
「シュンのやつトチ狂って中東の女さらってきたのかぁ~?」
シュンがこっちに気づいたのかカツカツカツと軍靴を鳴らしながら近寄ってきた。
「トミー、ライト、留守を任せて悪かった。それから私はトチ狂ってなんかいないぞ?ライト」
「ひっ!聞こえてたのかよ。」
「当たり前だ。お前もいいかげんソレを脱げ、ハイネ」
「だって、気に入ったし。涼しいよ?これ」
「いいから!皆に挨拶だ。」
「せっかく、シュンが買ってくれたのに……」
ライト達の後ろに来ていたミッフィーが肩を揺らせて笑いをこらえていた
そのやり取りに、トミーもライトも毒気を抜かれたようだ

「はぁ~」
溜息と共にアバーを脱ぎ捨てたハイネは細身の迷彩服をピタリと身に着け
くせ毛なのかウェーブのかかった黒髪を砂漠の風になびかせていた。
笑顔を作ってはいたが、目の奥には底知れない哀しさが漂っているようだった。
「名前はハイネ。クラスはBBBアサシン。24才。RH+A型。スキルは近接格闘とナイフ。よろしく。」

一瞬気おされていたライトだったが、ここで女に引けを取ってはと一歩前に出た
「お、俺は……」
「AAAスナイパーのライト。ファイルは皆の分読ませてもらった。足手まといになったらいつでも撃って。『処刑人』さん。それまではよろしく。」
そう言って右手を差し出された。
「あ、ああ……」
握り返した手は鍛え抜かれた手だった。ションボリと萎えてしまったライトは踏み出した足を引っ込めて自然とできた列に戻った。
「AAドライバー、AAAボマーのトミー。よろしく。」
がっちりと握手を交わした。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
「AAガンナー、AAメディックのミッフィー。口聞けないんだってね。よろしく。」
ミッフィーは差し出された手を両手で握り返しブンブン振った
「で、私がAAスナイパー、AAスポッター、AAARTO(Radio Telephon Operater)のシュンだ」
ズイッとシュンが前に出た
皆がブっと噴き出した
「そんなに自己主張すんなよシュン、皆知ってるって~ぎゃははは」
ライトが腹を抱えて笑った。
顔を赤くして頭をポリポリ掻いていたシュンだが気を取り直したように言った。
「ハイネは今まで僕が使っていた部屋を使うように。ミッフィーと同室だ、僕は3Fに上がって一人部屋になる」
「僕の荷物は、ミッフィー?もう運んでくれてるね?」
コクコクと頷くミッフィー。
「それではハイネ、ミッフィーと一緒に荷物を部屋においたら、ライトに施設を紹介してもらってくれ」
「え?俺が?めんどくせ~よ、シュンがやればいいじゃん」
「僕は、報告やら書類作りで忙しいの。頼んだよライト」
「ヘイヘイ。じゃあハイネ、荷物おいたら203号室にきな」
「わかった。」
「では、解散」

私はミッフィーに袖を引っ張られながら兵舎に向かった





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猫を殺(と)れ (12)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
トミーとライトの部屋の2つ隣がミッフィーと私の部屋だった
部屋はとても綺麗に片付けられていた。あわただしくミッフィーがベッドの布団やらぬいぐるみを2段ベッドの上に運び変えようとしていた。
「いいよ、ミッフィー。私が上で。それより部屋の掃除っていつも君がしてるのかな?」
コクコクと頷いた。
「じゃあこれからも頼むよ。私、掃除が苦手で下手でね。お願いできるかな?」
またコクコクと頷いた。
作り付けのデスクの一方には難しそうな医学関連の本が並んでいた。デスクの下には大きな強化プラスティック製の応急救命セットらしきものもあった。
あ、そうだ。と思いだしバッグのジッパーを開け中をゴゾゴゾ探した。あった。
「ミッフィー、これ君に。『お近づき』って言うんだって。ジジィに教えられた。初めての人には贈るもんだって」
ミッフィーに小さくくるんだ布きれを渡した。
首をかしげていたミッフィーは布きれを広げると、顔を真っ赤に染めた。
総レースの豪華な刺しゅう入りの真紅のショーツだった。
慌ててズボンのポケットに押し込むと、胸ポケットからメモとペンを取り出すと
『ありがとう。でも見せる相手がいないね。あと、椅子に座って。混合ワクチン打ちます』
「OK。病気恐いもんね」
そういうとスチールのロッカーから工具箱を取り出すと、大きなロックをバチンとはずした。
私は上着を脱いだ。それほど胸は発達してないし、暑いので蒸れるのとブラジャーの紐が擦れるのが嫌で、ノーブラだった。
一瞬びっくりした表情を浮かべたミッフィーだったが、すぐに目をそらし準備を整えた。
「左腕に頼むよ」
コクンと頷いたミッフィーはコンドームの袋によく似た袋を破くとアルコール脱脂綿で上腕部を丁寧に拭いた。
厚紙にフィルムでコーティングされているプラスティック製の注射器には、既に薬液が注入済みでニードルまで装着済みだった。
さすがは従軍用の医療キットと思った。
片手で注射器を押し出すとミッフィーは上腕部をギュゥっとつねった
「痛てて、コラッ!」
と言うが早いかニードルが筋肉にブッスリ刺さっていた。あ~ニードル挿入の痛みを麻痺さすためね。と合点がいった時にはもう薬液の注入は終わっていた。
注射の後をさっきの消毒綿で丹念にもみほぐしてくれた。あまりにしつこいので
「もう大丈夫だよ、ミッフィー」
と声をかけたがブンブンと首を振ってじっくりともみほぐされた。最後に1cm角ほどの絆創膏をペタっと貼って、それで終りだった。
またミッフィーがメモをすらすらと書いて見せた
『今日はシャワー駄目です』
マジかよ、と思った。ただでさえ暑くて体中が塩拭きそうなのに。

とりあえず上着を羽織って、ライトの部屋に行くことにした。
ところが前に進まない。
え?と思い後ろを向くとミッフィーが上着の裾を引っ張っていた。
「一人で行けるからいいよ、ミッフィー」
そう言って足に力をこめたがさっぱり進まない。なんでだ?。
再び振り返るとミッフィーはさっきの状態のままうつむいて裾を握りしめている
どういうことだよ、と思いミッフィーに声をかけてみた
「ミッフィー、ちょっと握手してみようか?」
コクコクと頷く。
「せーの、で力一杯握りしめるんだよ?いい?」
予想が当たっていたら怖い。利き手じゃない左手を出した。
ミッフィーも左手を出して軽く握り合った
「じゃあ行くよ、せーのっ!」
満身の力をこめたのに、あっという間に握りつぶされた。なんという握力。
負けず嫌いの血が沸騰した
「ミッフィー、腕相撲ってわかる?」
うんうんと頷くミッフィー。
ベッドからお互いの枕を両脇に並べて床に寝そべると、また手を握り合った
「いくよ?せーのっ!!」
こっちは顔を真っ赤にして力をこめてるのに、ミッフィーは顔色一つ変えずに中立の体勢を保っている。
ミッフィーがニコっと笑った。その瞬間左手が枕に叩きつけられた。左の肩関節が外れるかと思った。
「ギャァアアアアアアッ」
恥も外聞もなく大声を上げて、身体を左に転がし関節がはずれるのを防いだ。
ミッフィーが心配そうに私を覗き込んだ。
「だ、大丈夫。すごいね、腕の力。」
そう言うのが精いっぱいだった。
ミッフィーがコールドスプレーを持ってきた。また私は上着を抜かなくちゃいけなかった。
応急処置も終わり、さて、行くか、と思った時またミッフィーが裾を引っ張った。
「一緒に行きたいのか?」
そう尋ねるとコクコクと頷いた。
断る理由もないし、またあんな目に会されるのはまっぴらごめんだった。
ドアを開け、203号室の前に立つとドアをノックした。
「ハイネだ。入っていいか?」
「あ~いいよ~。鍵は開いてる。」ライトの声だった

ライトとトミーがこっちを見てニヤニヤしている。
「なんだよ?」
「早速ミッフィーちゃんの洗礼をうけたな?この部屋まで聞こえたぞ?『ギャァアアアッ』てな」
「あ、あれは……」
「いいっていいって。俺らのチーム、皆アレにやられてるんだ」
だが我慢の限界が来たようだ。トミーが爆笑しだすと、ライトも指差して笑いだした
「笑うなっ!」
「まあそう怒るなって、ハイネ。負傷した俺達を安全地帯までひっぱり出してくれるミッフィーの腕力。頼もしいだろうが。」
トミーに諭された。確かにそうだ。私なんか軽々と持ち上げてしまうだろう。
怒った自分を恥じた。
「それにさ~ミッフィーちゃんはデザートイーグルに50AE弾を詰めて片手撃ちで連射できるAAガンナーなんだぜー?」
「え?本当に?」
振り返るとミッフィーはうつむいてモジモジしていた。

「ま、それはいいとして、施設案内と行くかね~。カードは持った?あれがないと何にも買い物できないよ~」
「ああ、持ってる。ICチップの埋め込まれたIDにもなるんだろ?」
「そそ。じゃ、行こうか~」
「お、ライト、俺も行くわ。」

なんだか団体様での施設案内となった

(つづく)





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猫を殺(と)れ (13)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
「んじゃあ先ずは、生活の基本。風呂とトイレだね。3Fの士官室は個室についてるけど、俺達は共同。あ、ちなみに男女の区別はないから。」
「うん。わかった。何もかにも平等ってことだね」
「そそ。それにここ、元イラク軍の基地でしょ~。女子用なんてないわけよ。あ、ここトイレ。んであっちがシャワールームね」
「うん。」
「う~ん2Fはこんな所かな。あ~!大事な事言い忘れてた。ここってさ、俺たち以外のチームも5チーム使ってるわけよ」
「うん。」
「で、俺とトミーの部屋が203で、ハイネとミッフィーの部屋が205だろ?」
「うんうん」
「間の204号室はミーティングルームとして使うから、俺達のチームはこの3部屋だけなわけ。他の部屋は入っちゃ駄目だし、他チームの連中との必要以上の接触はさけてほしいんだ~」
「え?なんで?同じ会社の人間だろ?」
「だからさ。俺達はミッションをこなして給料もらってる。要は点数の稼ぎ合いさ。いいネタをライバルに教える馬鹿はいないだろう」
トミーがそう答えた。そんなもんかと思った。
「分かったよ」
「んじゃ、1Fに行ってみますかぁ~」
また4人でぞろぞろと移動を開始した。すれ違った他の兵士が何事かとこっちを見ていた。
「はい、ここが購買部。PXみたいなもんだけど、ここではカードの残金がある限りボディソープから、RPG-7まで買える。ここで伝票もらって、あとで連れて行くハンガーに行けば渡してもらえるよ~」
「へえ。便利だな。」
「早速なんか買ってみれば?練習、練習」
「うん。トミー?煙草は何吸ってる?」
「え?あ、俺か?俺はこれだ」
パッケージを差し出して見せた。
「んじゃあそれ2カートン下さい。」
白髪頭のおばさんがジロっとこっちを見ると
「はいよ」
と煙草を渡し、カードをカードリーダーにすべらし、返してくれた。
2カートンの煙草をトミーに渡した。
「え?」
「『お近づき』って言って初めて会う仲間には何か贈るもんだってジジィが言ってた。」
「ジジィ?なんだそりゃ?ま、まあありがたく受け取っておくよ。サンキューな。」
「ライトは、何かないか?欲しい物」
「え?俺?ん~していえば女かな?」
レジのおばちゃんのダミ声が即返ってきた
「ないよ。欲しけりゃ街にでも行ってくるんだね」
「で、ですよね~ひひひ。ところで、ミッフィーは何かもらったのか?」
ミッフィーは真っ赤になってうつむきながら、さっきの真紅のショーツをポケットから取り出し、広げて見せた。
「うはっ!なんちゅうものをっ!」
「ん?いけなかったか?何も欲しい物はないのか?ライト」
「ん~まあ、俺はいいや。欲しくなったら言うよ。それでいいだろ?」
「ああ。」
「じゃあ次行こうぜ」
購買部の奥はサロンになっていた。ミッションのない兵士たちが酒を飲んだり、カードゲームをしてくつろいでいた。
テレビも数台置いてあり、ヘッドフォンをした兵士が映画を見ていた
「ま、見ての通りだ。次は食堂な」
清潔なリノリウム張りの白い床にテーブルが並び、対面式のキッチンでコックたちが働いていた。
「ここはバイキング方式。24時間やってる。食べても食べなくても給料からは差っ引かれる。ま~体調管理も自己責任ってことだな」
「そうか。」
「これで一応施設案内は終わったけど、ハイネのメインウエポンは何なんだよ?」
「ん?ナイフ。」
「いやいやいや、ライフルとかさ、ショットガンとかさ……」
「ナイフだよ。」
「……ランボーじゃないんだからさぁ~」
「ランボー?ランボーって何?」
トミーとライトが困ったような顔を見合わせた
「ナイフじゃまずいのか?私は身軽な方が良い」
「ん~そうだな、じゃあピストルは?」
「それならいい。持つよ。」
「何が扱える?」
「トカレフかマカロフなら。」
「トミー、確かハンガーにどっさり分捕ってきたのがなかったっけ?」
「ああ、あった。行ってみるか。」

ハンガーは兵舎から歩いて5分ぐらいの所にあった。
「お~い、ここに敵さんの拳銃保管してなかったっけ~?」
ライトが大声で、ハンガー内の整備兵に呼びかけると
「あ~それならこっちです~」
と油だらけのつなぎを着た若い男が手招いた。
行ってみると1m四方ほどの金網のバスケットにどっさりとピストルが入っていた。
「どれでも好きなの選びな~。ここのならタダだよ」
ライトがそう言ってくれた。
私は選り分け作業に入った。
コピー、コピー、コピー、コピー、整備不良、コピー、コピー
中々いいものがない。ポンポン放り出していくピストルを受け止めるのに他の3人は必死だった
「あ、あった。」
純製品のロシアンオリジナルだった。
「つ、ついでだしもう一丁選べば?」
両腕にコピーモデルの粗悪トカレフを抱いたライトがそう言った。
「うん。」
「あ、またあった。」
2丁目はすぐに見つかった。動作確認をする。スライドもスムーズに動く。
銃自体は粗悪コピーでもマガジンは純正の場合が多い。
一つ一つマガジンをはめ込みながら10本のマガジンを選んだ。
「ありがとう、3人とも。」
お辞儀をした。
「い、いやいいけども弾丸は?」
「ここのは使えない。注文するよ。」
「そ、そうか。じゃ、かえろっか?」
空のマガジン10本はトミーが持ってくれた。
途中で購買部によっておばちゃんに7.62mm×25(トカレフ弾)を1000発注文した

「じゃあ、ここで。後でまたシュンから連絡あると思うから、休んでてくれ」
マガジンを運んできてくれたトミーがそう言って出て行った。
私はミッフィーに断って煙草に火をつけた。ジジィの真似をしてるうちにすっかり癖になった

「ん~ハイネってどっかずれてるけどいい子だよなぁ~」
「ああ」
ライトはベッドでのたうちまわっていた
「あんな子、撃ち殺すの俺嫌だよ~」
「……そうだな。でもお前がやらなきゃシュンがやるぜ?」
「そうなんだよなぁ~っ!俺わざとはずしちゃうかもなぁ……」
「ライト……私情に……」
「わ~ってるよっ!まいったなあもう。」
毛布をかぶってグダグダするライトを見つめてトミーも複雑な心境で新品の煙草のカートンを見つめた。


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猫を殺(と)れ (14)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
シュンからは、まだミッションまでは日にちがあるから、それまでにここの気候に順応しておくこと、施設の利用に慣れておくことを伝えられた。
男性と同じシャワールームを使う事には最初抵抗があったが、それぞれ半透明のプラスティックの板で仕切られて居る為すぐに慣れた。
初日にミッフィーから錠剤のヒートの束を渡された。
「これなに?」
と聞くと、メモを取り出すと『生理を止めるピルです』という返事が返ってきた。
そりゃあいいや、と思い毎日服用しだした。
兵舎の食事はまずくもなく美味くもなかった。
4日目、少し寝過ごした私が食事を済ませて部屋に戻ろうとすると、購買部のおばちゃんに例のダミ声で呼び止められた。
「荷物、届いてるよ。」
「あ、どうも。」
「これ、伝票ね。ハンガーに持っていけば渡してくれるから。……あんた日系かい?」
突然の質問にたじろいだ。だが一々説明をするのも面倒くさかった
「そうです。」
とだけ答えた。その途端おばちゃんは相好を崩した。
「そうかいそうかい。私もそうなんだよ。ミドリって呼んでおくれ。ほら目ん玉碧色だろ?」
「あ、はい。ミドリさん……あの、私、急ぐんで」
長く話しているとボロが出そうで、早く立ち去りたかった。
「はいはい、まあせいぜい稼ぐこったね。長生きしてうちを繁盛させておくれ」
あれ?ダミ声じゃなくなってたぞ?表情も若返ってた様な……気のせいかな。
そう思いながらハンガーに急いだ。
外は相変わらず熱風と砂が吹き付けていた。防砂の為メインシャッターの閉まったハンガーの横の入り口から入る。
「あの~!」
中の機械音やアーク溶接の音に負けないように声を張り上げた。
しばらくすると溶接をやってた男が、手を止め遮光面を頭の上にずり上げてこっちへ来た
「やあ。何か用かい?」
「これ。」
伝票を渡した。
「ああ、ちょっと待ってて。昨日届いた荷物だね。見てくるよ」
物腰の柔らかい男だった。しばらくして大きな包みを持って帰ってきた。
「はい、これ7.62mm×25のトカレフ弾1.000発ね。ここにサインして。」
『heine/10a21』とサインした。10a21は認識ナンバーだ。
「それとカード出してくれるかな?」
胸ポケットから出したカードに何やら読み取り機のようなものを出してあてがうと、ピピッという認識音がした。
「OK.これで受領終了。でも何で今どきトカレフ?もっといい銃いっぱいあるのに。」
「うん。整備が簡単だし、敵地では敵の使う武器が一番ってジジィが言ってた」
「はは、まあそりゃそうだね。弾切れの時だって、敵の弾が使えるしね」
「君は……えーとheine……ドイツ系?」
「ううん、日系。ハイネでいいよ。あなたは?」
「俺はワタル。こう見えてもドイツ人。曾おばあちゃんが日本人だった。よろしく。」
「ワタルは銃器の加工もできる?」
「ああ、大体はね。」
腰に差したトカレフをワタルの目の前に出した
「これに合うサプレッサー(消音機)作れる?」
「ちょっと見せてもらっていいかな」
「うん。」
「こいつは肉薄だし、第一全長が20cm近くあるからね。消音機つけると40cm近くなっちゃうよ?君……ハイネは認識番号の『a』からするとアサシンだろ?そんな長い銃持って不便じゃない?」
「そうか。うん、そうだね。ありがとう」
「力になれなくてごめんね」
「いや、いいよ。」
「それよりこの弾丸の包み紙もそうだけど、奥に見える段ボールやコンテナにも『Dolphin Trading Company』って文字とイルカの絵がかいてあるんだけど……」
「ああ、DTCね。世界中、西も東も金次第で武器、弾薬を供給してる死の配達人って所かな。一応商社って形を取ってるみたいだけど。本社は日本だよ。」
「ふーん。そっか。ありがとう。また遊びに来る。」
「ああ。」

ジジィもイルカ。日本に残してきた息子と孫もイルカ……
妙に胸騒ぎがした。
しかし50発入りのパッケージが20個収まった段ボールは異常に重かった
熱風で汗だくになる前に急いで兵舎へと駆け込んだ



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猫を殺(と)れ (15)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
その日は自室に帰り、弾丸の点検に明け暮れた。
7.62mm弾はトカレフのオリジナルがとっくに生産ストップされている故か、第三国で粗悪な量産がされているのが実情だ。
単純明快な機構ゆえ、ジャム(機関故障)することの少ないトカレフだが、弾が飛ばないんじゃあ仕方がない。
弾頭のねじれや薬莢の歪みをチェックしていった。購入した1.000発のうち使えそうなのは900発を切っていた。それを8発挿入できるマガジン10個に丁寧に詰めていった。2丁のトカレフのマガジンにも詰めた。
サブウェポンとはいえ、練習しておくに越したことはない。国では散々使い込んだ銃だがブランクがありすぎる
部屋を出て203号室をノックした
「誰かいる?ハイネだけど。」
「ああ、入っていいよ」
トミーの声がした。
トミーは寝転がって男性向け雑誌をペラペラとめくっていた。
「どうした?」
雑誌から目を離さず聞いてきた
「いや、試射したい。どっかないかな?」
「お、弾が届いたかい?70m級の試射場なら地下にあるよ。でもシュンの許可がいる。ちょっと待ってな。」
そういうと身体を起し内線電話でシュンを呼び出したようだった。
しばらくするとドヤドヤとシュンがミッフィーとライトを連れてやってきた。
「ちょうど次のミッションの打ち合わせをやってた。行こうか。」
「あ、待って待って俺も俺も~」
「ああ、俺も行くかな」
トミーもライトもガサゴソ準備を始めた。ライトに至ってはライフルを取り出した。
私も部屋に戻り、トカレフ2丁とマガジンを4本持った。ん?と思ってミッフィーをみるとデザートイーグルにマグナム弾を詰め込んでいた。
皆ミッションのない間は暇だったのだろう。
全員が廊下に揃ったのを見てシュンが鍵をチャリチャリさせながら先導していった
ライトが肘でわたしを突きながら
「これで評価が出たら、給料上がるかもよ、ひひひ」
っと耳打ちしてきた。
普段は滅多に使わない2F奥のエレベーターに全員が乗り込むと、シュンがキーを差し込んだ。
行けないはずのB2が表示された。下降が止まり、エレベーターの扉が開くとそこは殺風景なだだっ広い空間だった
奥の方は闇に包まれて見えない。
「まずはハイネからだ。最初は静止目標。10ターゲット目からはランダムにターッゲトが起き上がる。ヒットすれば倒れる。まあ練習だ。一回やってみろ。」
「ああ。」
民間ブースのように間仕切りはない。
2丁のトカレフをスライドさせ、弾を充填した
持ってきていた4本のマガジンを等間隔に立てて並べる
シュンは一段上の防弾ガラスに囲まれた部屋で機械を操作するようだ
『「ヘッドホン」はつけないのか?』
マイク越しにシュンの声が聞こえてきた。
「要らない。実戦でつけないだろ」
そういって横の3人をみると皆ヘッドホンを付けてさらに上から押さえていた。
『手元の明かりはいるか?』
「いらない」
そういうと試射レーン、というか部屋全体が明るくなった。
大きく深呼吸し、リラックスして銃を両手で構え、スタンスを広げた
『準備は?』
「いつでも。」
『何メートルからいく?』
「とりあえず20mから。」
『GO!』
その途端人型に模したターゲットがピョコっと飛び出てきた
引金を絞った。心臓に一発、頭に一発。
「次っ!」
次は30mラインに標的が出てきた
また引金を引く心臓にヒット、頭にヒット。
「次っ!」
「次っ!」
と順調に行ったが60mの所で2発とも外して弾切れになった
『なんで2発づつ撃った?』
「相手の動きを止めてからとどめを刺した」
「アサシンには必要ない。一発で頭を仕留めろ。次ランダム行くぞ」
空になったマガジンをそのままリリースして地面に落とすと机に立てたマガジンに銃をガツンとぶつけて装填した。もう一丁の銃も左手に持った。
「どうぞ!」
機械音がし出すと突然ターゲットがあらぬ方向から起き上がった。撃った。倒れた。
また違った方向、違う距離でターゲットが起き上がった。左手で撃った。倒れた。
体感で初めは3秒ぐらいターゲットが現れていたのに、消えるスピードがどんどん速くなっていく。
構わず、視野に入ったものから撃ちまくった。弾切れしてマガジンリリースをしてまた机に立てたマガジンを装填するのに、両手の銃が同時にならないよう気を付けた。かなりミスショットもあったが、持ってきた弾はうちつくした。
「弾切れ。」
そういって銃を机の上に置いた
「ひゅ~~やるじゃん~~」
ヘッドホンを外したライトが近寄ってきた。
「トカレフでよくやるぜ……」
トミーがしげしげと机の上でまだ熱を持っているトカレフを取り上げて眺めた
しばらくして計算の終わったらしいシュンが下りてきた
「どうだ?」
恐る恐る聞いてみた
「精密度A+ 反射速度AA+ 遠距離目標B ま、こんなもんだろ。ガンナーランクをシングルAで申請しておくよ」
それを聞いてた3人がドワっと私を抱きしめた
「よかったじゃ~ん!ランクアップだ~」
「おめでとう。また一つ身を守る武器が増えたな」
ミッフィーもニコニコ笑っている



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猫を殺(と)れ (16)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
「AAガンナーの実力を見てみるか?ハイネ」
シュンがつぶやいた。
「ああ、見たい。」
「ミッフィー、その大砲は置いとけ。僕のベレッタで十分だろう」
そう言って差し出されたシュンのベレッタを受け取るとデザートイーグルは腰に仕舞った
またシュンはコントロールルームに戻っていった
ミッフィーはろくにスタンスも取らずに、少し足を広げて立っているだけだった
『いくぞ、ミッフィー』
ベレッタをぶんぶん振って合図を送った。
パカッと起き上がったターゲットは今度は絵がかいてありアラブ系のターバンを巻いた男だった。
パンっ額に穴が開きターゲットは倒れた。
次に即現れたのは子供を人質に取った男の絵だった。
パンッ、おとこの額にだけ穴が開きターゲットは倒れた。
ターゲットの出るスピードは私が弾切れを起こした時より早い
次は民族衣装のアバーをきたおばさん。
これは撃たなかった。
また同じおばさんが出たと思ったら今度は手にナイフを持ってた。
パンッ!ターゲットが倒れた
その調子で弾切れまでハイスピードのターゲット撃ちは終わった
私は呆然としているだけだった
シュンが下りてきた
「ミッフィー、また反応速度が上がったね。もう少し頑張ればAAAガンナーになれるよ」
ミッフィーが嬉しそうに頷くと、ベレッタをシュンに返した。
「どうだ?これがAAガンナーの実力。メディックだって最前線で戦うんだ。これぐらいできないとね。」
落ち込んだ。一番戦闘能力の低そうなメディックにまけた……。
「な~~シュン、俺にも例の奴やらせてよ~」
「もう見飽きたよ。」
「そう言わずにさ~。ハイネは見てないじゃん」
「わかったよ、もうめんどくせぇな」
「ひひ、だから好きよ、シュンちゃん。」
「気持ち悪ぃ。準備すっから待ってろ」
そういうと隅に置いてあった工具箱から瞬間接着剤をとりだし、自分のポケットから小銭を出した。
私のほうに歩いてくると
「ハイネ、悪い」
そう言ったかと思うと髪の毛を一本プチンと抜いた
「痛て!」
「すまんすまん」
全然気にしてなさそうなのがムカついた。
机にあるボタンを押すとガーーーと言う機械音と共によくある標的プリントが暗闇から近づいていた
標的プリントをクリップからはずすと、さっき抜いた髪の先端に瞬間接着剤をチョイと塗りクリップに留めた。
その反対側にまた瞬間接着剤を塗ると、こんどは小銭の中から5セント硬貨を選び出し貼りつけた。
5セント硬貨は直径約2cmだ。
その作業が終わるとライトに70mでいいんだな?と確認するとまたスイッチをおした。
コインが遠ざかって暗闇に消えた。カシュンというもうこれ以上は動きませんよというレールの音がした
「さ~てと、さあ、皆さんお立合い。さっきの5セント硬貨に穴が開いて戻ってきたら大きな拍手をお願いいたします」
おおげさな礼をしておどけて見せた。
ライトが手にしているライフルを見てまた驚いた。スコープがついてない。私には全く硬貨など見えなかった
ライトが大きく息を吸って息を止めてライフルを構えた。
私まで息が止まった。
タンッ
乾いた音がしてライトが息をふーっと吐いた。私も吐いた。
シュンがスイッチをおして硬貨を呼び戻した。
硬貨にはど真ん中よりちょっと左寄りに丸く穴が開いていた。
「ありゃ~ちびったか?」
ライトが悔しそうにしている
「スコープにばっかり頼ってるからそうなるんだよ、ライト」
シュンがニヤニヤしながらライトの肩を叩いた。

なんだこのレベルの高さは。
私はその場にいることが恥ずかしくなり
エレベーターに飛び乗ると自分の部屋に帰りベッドの中で震えて泣いた。
ミッフィーがバタバタと追いかけてきて私を揺すったが
毛布をかぶって壁を向いてあふれ出る涙をこらえた。
しばらくじっとしていたミッフィーの気配を感じていたがドアをロックする音がしたと思うと
カチャカチャとベルトを外す音が聞こえ、服を脱ぐ衣擦れの音が聞こえた
心拍数が高まった。
ミシっとベッドにミッフィーの体重がかかるのが分かった。
私がかぶっている毛布に潜り込んできたミッフィーは、そのバカ力で私の顔を自分の方に向けさせると
涙に濡れ、どんどん溢れてくる涙を唇で吸い取って、その豊満な胸の中に私の頭を押し込んだ
優しさにまた涙が溢れた。ミッフィーが髪を優しく撫でてくれている間に
私は知らずに母の胸に抱かれるように寝入ってしまっていた


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猫を殺(と)れ (17)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
次の日目が覚めたのはもう昼前だった。
ミッフィーはもう隣にはいなかった。昨日の事が鮮明に思い出された。
私の存在価値
私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値

そればかりが頭の中を駆け巡った。
ベッドの上で膝を立て壁に背をもたせ掛け煙草を何本も灰にした。
食欲はまるでなかった。ぼうっと一点を見つめて何も考えられなかった。
何もかにもがめんどくさかった。

シンとした部屋の空気を内線電話の無機質な呼び出し音が破った。
無視していたが、コール音は止むことがなかった。
仕方なく受話器を取り上げた
「……ハイネ。」
「トミーだ。サロンに降りてこないか?話がある」
「そんな気分じゃない……」
「いいから付き合え。5分でこい」

うんざりしながらも顔も洗わずに1Fに降りて行った。
サロンは他のチームがミッション終了の打ち上げをしているのか、にぎやかだった。
トミーは片隅で一人、ビールを飲んでいた。
目の前に腰を下ろした。
「……何の用だ。」
「ん、まあ特に用事と言うほどの物でもないがな」
「じゃあ、呼びつけるなよ」
「そう言うな。昨日の事で、落ち込んでるんだろう?」
「……。ああ。」
トミーの前では不思議と素直になれた。
「人にはな、それぞれ特性ってものがある。ライトにはスナイパーとしての特性、ミッフィーはメディックだ。お前にセムテックス(爆薬)が扱えるか?俺にはそれができる。」
「……何が言いたい?」
「ハイネはこの前『メインウエポンは何だ』と聞かれたとき何と答えた?」
「……。」
「何と答えた?」
「……ナイフだ。」
トミーの声が突然大きくなった
「そうだろう。ハイネにはナイフがある。今はBBBだが、俺はAAやAAAにもひけはとらないと思ってるぜ」
「ちょ、トミー。他のチームに聞こえるぞ」
「わざとさ」
案の定、サロンの中がシンとなった。
「おいおいおい、聞き捨てならねぇな。たかがBランクのナイフ使いがAAAランクに引けを取らないだと?」
長髪の金髪を頭の後ろで結った、長身の男がゆらりと近づいてきて、ドカっと私の横に腰を下ろした。
「なあ、姉ちゃん、どうなんだよ?」
缶ビールを片手に持っているが全く酒臭くない。ノンアルコールなのだろう。油断がならない。
「その腕前とやら、証明してみるか?今なら謝れば許してやるぜ?」
「お前は?」
「AAAアサシンのサイファーっていうもんだ」

私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値

「模擬戦はごめんだ。実戦なら受ける。」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
静まり返っていたサロンが一気に爆発した。
「いい根性じゃねぇか。30分後にハンガー裏に来い」
そういうとサイファーは席を立ってチームの方に戻っていった。
「お、おい、ハイネ。」
「けしかけたのはお前だろう、トミー。私は自分の存在価値を確かめる」
「存在価値って……」
「ここじゃ、強い物が掟なんだよな?」
「ああ。そうだ。」
「私が死んだら荷物は焼いて処分してくれ。送る先がない。準備してくる」

部屋に戻った。カバンからジジィにもらったナイフを2本取り出し、一本はガムテープでブーツに貼りつけた。
私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私、私
私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値私の存在価値
私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所私の居場所

頭の中にはそれしかなかった、その言葉がぐるぐると渦巻いていた
部屋を出た。途中でミッフィーかライトに声をかけられたような気もしたがよく分からなかった
ハンガー裏の通称「決闘場」に時間通りたどり着いた。
もう周りには人垣が出来ていた。




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猫を殺(と)れ (18)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
私の姿を認めると、人垣が自然と割れて人間の作ったリングの中に立った
サイファーは大柄のナイフを弄びながらニヤニヤしながらこっちを見た
「おい、姉ちゃん。最期に名前ぐらい聞いといてやるぜ」
「ハイネ。」
「はっ。すぐに忘れそうな名前だな。行くぜっ!」
サイファーの踏み込みは早かった。あっという間に私の間合いに入ってきた。

私って何だ?何で生きてる?私に何の価値がある?何でこんな所に居る?

そんな考えがずっと頭を駆け巡っていた。
ナイフを構えるでもなく両手をダランと下げたまま、ジジィとは比べ物にならないノロい攻撃を無意識にかわし続けながらぼんやりしていた。

皆すごいよな。ライトの狙撃能力にあの明るさ。

目の前をかすめるナイフの切っ先をぼーっと目で追った。

トミーの包容力と気遣い、リーダーシップ。

心臓めがけて突っ込んでくるナイフとサイファーを扇形に足を滑らすように躱した

ミッフィーのメディックの力と射撃能力と優しさ

「クソッ!何で当たらねえ!ヒラヒラ逃げまくりやがって!勝負しろこらぁああ!馬鹿にしてんのかっ!」

馬鹿になんかしてないよ。

シュンの情報収集分析能力、皆すごいよなあ。私には何がある……

周りからヤジが飛んだ「鬼ごっこじゃねえんだぞ!!殺せ殺せぇっ!」

殺せ?

殺せ?

殺せ!?

殺せ!!??

そうか、ようやく理解できた。私、殺せばいいんだ。

私の存在価値って殺す事なんだ!!

あはははは、簡単じゃん。簡単な事だったんだ。

人を殺せば、私を皆が認めてくれるんだ!

じゃあ、目の前のこのトロくさいやつから殺しちゃえ


隙だらけで向かってくるサイファーの目の前を一瞬で身体を沈めこみ、強烈な前蹴りを奴の膝小僧にブチあてた。
サイファーの足は変な方向にねじ曲がり、ガックンガックン妙な歩き方をしたと思ったら転んだ。
奴の手にしていたナイフを蹴り飛ばして正面に立つと前髪を掴んで喉にナイフを当てた

突然銃声が鳴り響いて、シュンがなにかわめいてた。
私はニッコリ笑ってシュンに頷くとサイファーの左耳の下にナイフを根元までさして右耳の下まで切り裂いた
前髪を掴んでいた頭がポロンと後ろに傾いて、真っ赤な暖かい血を全身に浴びた。

やった!殺した!!これで褒めてもらえる!私だってやればできるんだ!これが私の存在意義なんだ!
そう思うともう全身が喜びで満たされて笑いがこらえきれなくなってケタケタケタケタ天を仰いで笑い始めた。





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猫を殺(と)れ (19)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
「……さん」

「…お嬢さん」

「お嬢さん、独りでこんな所に寝てると襲われちゃうよ?」

聞こえてきたその声に、身体が反射的に一挙動で立ち上がり腰に手をやった。
ナイフはなかった。
今は金属探知機に反応しないセラミックのナイフがあるとはいえ、世界的な情勢不安な状況で持ちまわるわけにはいかなかった。
相手を見据えた。シュンだった。しっかりと私のナイフの攻撃範囲から間合いを外して立っている。
ロビーの外での粘り気のある嫌な汗とは違う、冷たい汗が首筋を流れた。

嫌な夢をたっぷり見たような、夢の中の夢のような現実感の無さと、気持ちの悪い眩暈が襲った。
口の中の粘つきをなんとか唾で潤し言葉を発することができた。
「シュンか。驚かすな。」
「まあまあ、そう言わずに。これでも羽田から超特急で来たんだぜ?」
「そうか……で、後ろの奴は?」
「え?わかんない?ライトだよ、ライト。」
ブロンドの髪をを黒く染め、サングラスを外したライトの目はこげ茶色のコンタクトレンズが入っていた。
「ライトか。久しぶりだな。」
「よ~ハイネ、顔色悪いぜ。嫌な夢でもみてたのかい~?」
そう言って細身のライトは何も言わずニッコリ微笑んだ。
「まあ、ライトはこういう変装しなくちゃいけないが、ハイネはそのまんまでいいな。」
私はうなずいた。シュンはれっきとした日本人なので何もする必要がない。

「これ、旦那からだ。トイレで開けてきなよ」
A4サイズの茶封筒を受け取ると、私はトイレに向かい個室に入った。
天井を見る。火災報知器、煙探知機だけで防犯カメラは入り口にあっただけだった。
茶封筒を手で破くと、日本国籍のパスポート、免許証、携帯電話、現金が30万円入っていた。
パスポートと免許証の名義は「村崎 灰音」となっていた。
日本語でなんと発音するのかは分からなかったが、漢字は読めた。
携帯電話の電源を入れて、メモリーを調べた。一件だけ登録してあった。おそらくトミー携帯電話のものだろう。
電源を切るとズボンの腰ポケットに押し込んだ。逆のポケットにパスポートと免許証を入れ、現金は15万ずつ折りたたんで前の左右のポケット別けていれ、長袖Tシャツの裾を出して、ズボンのふくらみを隠した。

個室から出ると、洗面台の前に立ち鏡を見た。脂汗が浮いている。センサー式の蛇口に手をかざし、水をたっぷり掬い顔を洗うと、額にかかった前髪を水でオールバックになでつけた。
コツコツという足音と共に女性が入ってきた。
個室には入らず、化粧台に向かうとバッグからポーチを取り出すと化粧直しを始めた。
空港のロビーで見た女性たちは皆綺麗に化粧をし、美人が多かった。
私は生まれてこの方、化粧と言うものをしたことがなかった。
素顔のままでは、空港職員や周囲の人間に怪しまれるのではないかと思った。
鏡越しの視線に気づいたのか、女性が怪訝な顔をして私を見た。
「なに?何か用?」
「いや、とても美しい方だなと思って、つい見入ってしまいました」
日本語の基礎は国で学んでいたし、シュンからも折に触れ発音やイントネーションを学んでいた。
変な日本語じゃなかったはずだ。
女性はまんざらでもなさそうな顔で軽く微笑んだ。
「化粧よ、化粧。化けてるのよ。……ってあんたスッピンなのね?」
(スッピン?)よくわからなかったが適当に話を合わせることにした。
「はい。あまりの暑さに、この洗面台で洗い流してしまいました」
「あはは。馬鹿丁寧な喋り方~。私も、この暑さで化粧ドロドロよぉ。すぐに化粧直ししないと、もたないわぁ」
喋り方変だろうか?正しいはずなのに。あまり喋るとボロが出そうだ。思い切って切り出してみた。
「もし、お構いなければ、私に化粧をしていただけませんか?」
一瞬怪訝な顔をしたその女性だったが、携帯電話を取り出して時間を確認すると
「いいわよ。まだフライトまで時間あるし。化粧品貸すから自分でやる?」
やり方が分からなかった。
「恥ずかしいのですが、貴女の様に綺麗に化粧する自信がありません。出来ればお願いしたいのですが」
その言葉で女性は気をよくしたようだった。ニッコリ微笑むと
「分かったわ、やってあげる。でも今は化粧直し用のポーチしかないから、下地とかは無理よ?直接ファンデ塗っちゃうけどいい?」
全く単語の意味が分からなかったが、化粧してくれるという事だけは理解できた。
「じゃあ、こっち向いてね。動かないで。他人にメイクするって初めて。不思議な感じだわぁ」
そういうとポーチから次々と化粧品を取り出すと、テキパキと私の顔を塗って行った。
「あら、あなた化粧映えするわねえ、何歳?」
「今年で29歳になります」
「やだっ、私より全然年上じゃない。タメ口聞いてごめんなさい」
(タメ口?)よく分からなかったが、『ごめんなさい』だけは分かったので
「いいえ、気になさらなくても結構ですよ。大丈夫です。」
「ははっ、相変わらず丁寧な言葉、面白~い。さあ、あとは口紅を塗っておしまい。何色が良い?」
女性は口紅を目の前に差し出して見せてくれた。ピンク、オレンジ、ワインレッド。
「これをお願いします」
ワインレッドの口紅を指差した。
「だと思ったぁ~。目つきが鋭いっていうか、格好いい顔立ちだから似合うわよ~」
そう言うと細い筆で丁寧に唇を縁取って、ピンクを塗るとそのうえからワインレッドを塗り重ねた。
最後に透明のノリのようなものを塗った。
「よしっ、できあがり。最後のグロスで口紅が一層映えるわ。綺麗になったわよ。鏡見て、ほら」
そうか、最後の透明はグロスというのか、そう思い鏡を見た。驚いた。別人だった。
「あれ?気に入らなかった?」
女が不安そうな顔をした
「いえ、とんでもありません。ものすごく気に入りました。ありがとうございます」
「じゃあ、そんな人形みたいな顔しないで笑って笑って~」
表情を作る訓練には慣れている。「好印象与える笑顔」を実践した。
「うわぁ、素敵。うらやましいなあ。何か骨格が違うっていうか、外人さんみたい」
その言葉に敏感に反応した。これ以上関わり合いになるのはまずい。
「ありがとうございました。おかげでたすかりました。幾らお支払すればいいですか?」
きょとんとした顔をした女はバチンと私のかたを叩くと
「やだもう、おっかしい。お金なんかいらないわよう。面白い人ねぇ」
「そ、そうですか?えっと折角化粧してもらったのですがフライトの時間と友人と待ちあわせがあるので……」
「あ、そうだ!いけない。私もだった!それとこれ。この色私には似合わないからあげる。じゃあね。」
そういうと女は私よりさきにトイレを出て行ってしまった。私の手に残された一本のワインレッドの口紅。
盗聴器か薬品類が仕込まれていないか、隅々まで確認した。





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猫を殺(と)れ (20)

Category : KILL THE CAT
テーマ : ひとりごと
ジャンル : 心と身体
トイレから出るとロビーのベンチでシュンとライトが何やら笑いながら話し込んでいた。
そっと歩み寄って声をかけた
「お待ちどうさま」
「え?あ?うお!!」
「お~~ハイネか、見違えたぜ~。誰かと思ったじゃんかよ~」
2人とも私の変わり具合に驚いた様子だった。一通りの説明をするのにえらく時間がかかった。
シュンにさっきの口紅を渡した。
「私が見たところ一応異常はないと思うんだけど、一応確認してくれる?盗聴器の類なら困る」
シュンは口紅を受け取るとザッと見ただけで私に返した
「大丈夫だよ。日本って国はそれほど物騒でエージェントがゴロゴロしてる国じゃないんだ。大切に取っとけよ。それより、化粧が似合うな。トミーが見たらびっくりするぜ?」
そんなもんかと思った。シュンが除隊して3年、随分と口調も変わった。
「さっき公衆電話でトミーと話した。大体の事情は分かった。でも、なんでライトが?」
「いや~金になるって聞いてさ。シュンに呼び出されちゃったのよ~」
「金ならたんまり稼いだろう?」
「ん、まぁね~。でもほら、あんまり平和だと死にそうになっちゃうんだよね。だから乗った。」
分かる気がした。PTSDの一種だ。
「で、シュン、落ち合うのはいつ?」
「まだ先の話だな。ハイネもライトも日本に慣れなきゃいけない。特にハイネはな。後は東京についてからだ。」
「わかったよ。」
「んじゃ行こうよ~。フライトまで時間ないよ~」
「OK、ライト。ほらハイネ、チケットだ。」

東京まではあっという間だった。羽田からモノレールに乗り、シュンの先導で駅構内のコーヒーショップに入った。
「ここからは3人別行動だ。お互いの携帯電話の番号も交換しない。必要があれば全てトミーを通してくれ。ハイネは東京についたら電話をくれとのトミーの指示だ。」
カプチーノを一気に飲み干したシュンが立ち上がろうと机についた手をぐっと握った。
「?」
「シュン、お前東京に、店出すって言ってただろ?何の店だ?ただの好奇心だから嫌なら答えなくていいよ」
「あ~う~ん。……そうだな。東京にはカブキチョーって言う所があってな、そこで『女性専用』の店をやってる。ま、ぼちぼち繁盛してるさ。ミッション終わったらハイネも来ればいい」
ライトがこっちを見てウィンクをした。ピンときた。
「分かった。必ず寄らせてもらうよ」
「ああ。じゃあ、またな。」
「お~待って待って。俺も行くよ~」
ライトも慌ててコーヒーを飲み干すと、レジにいるシュンを追いかけて行った。
駅の構内での売店で、東京の1/1000地図の英語版と日本語版を買った。
駅の改札が見えたところでトミーの携帯電話を鳴らした。
1コールで出た
「東京に着いたのか。ハイネ。」
「うん。」
「地図は買ったか?」
「当たり前でしょう?基本よ、基本。」
「もしそこにオーサカの地図もあるなら買っておけ」
「……わかった。」
「あと、ハイネは稼いだキャッシュはどこの銀行に移し替えてある?」
「アメリカのCITI(シティ)BANKだけど?」
「ああ、ATMたくさんあるから便利だな。そこらへんにゴロゴロしてると思うから、一ヵ所で50万円ずつ、6ヶ所で300万円ほど『円』で現金に換えろ。タクシーを拾って乗り込んだらまた、電話をくれ」
それだけ言うと、電話は一方的に切れた。
またさっきの売店に向かうと、今度はオーサカの地図を買った。手ぶらの私は現金を入れるのにも困ったのでついでに黒の無地の手提げ紙袋も買った。
駅構内にも3つほどのATMがあったのでそこで50万円ずつ引出し、駅の改札を出たところでキョロキョロとATMを探した。東京の街の空気は澱んで臭かった。そして人の群れ。
圧倒されながらも、ようやくATMの並ぶ場所を見つけ残りの150万円を引き出し、客待ちの空車のタクシーに乗った。
「どこまで?」
無愛想な運転手だった。
「適当に流してください。」
そう言って、携帯電話を取り出しトミーを呼び出した。
「上出来だ。タクシーの運転手に変わってくれるかい?」
携帯電話を運転手に渡した。
「はい。はい。あ~はいはい。あそこね。わかりました。」
そういうと電話を私に返した。
「タクシーから降りたらまた電話をくれ。」
また一方的に切れた。
東京の圧倒的な近代的なビル群と車の多さに驚いた。
ハンビーで砂漠を縦横無尽に走り回っていた頃が無性に懐かしかった。
慢性的な渋滞なのか、車はノロノロ運転を繰り返していた。
ウインドウに頭を付けて車窓を見ているうちに、また寝入ってしまった。




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灰音



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